Twitter で防災情報を配信している特務機関NERV(@UN_NERV)では台風情報を配信していますが、台風が熱帯低気圧や温帯低気圧に変わったり、気象庁の管轄域外に出たりしたときに、「台風は消滅しました」という文字を画像の中心に入れています。
台風は、温帯低気圧や熱帯低気圧に変わったとしても、低気圧ですから、その勢力が一瞬で失われるわけではありません。また、気象庁の管轄域外に出た台風は、サイクロン(やハリケーン)と呼ばれるようになるだけで勢力は依然保っています。
それなのに、なぜ勢力が完全に失われたように思う「消滅」なのでしょうか。
台風とは
まず、気象庁がどんな基準や要件で台風と識別するのかをご紹介します。※識別というと使徒みたいですね。wktk
気象庁では、「台風」をこのように定義しています。
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。
気象庁|台風とは
予報用語
気象庁では、台風に対して「消滅」という言葉を用いています。気象庁ホームページ上や、配信資料に関する技術情報、電文でも、台風に対して「消滅」という言葉を使用していることを確認しています。
気象分野を扱っている方や、NHKニュース、民放の気象情報等で気象予報士の言い回しによく注意している方はご存知かと思いますが、気象庁には独特の予報用語があります。
特務機関NERV では、情報を受け取る人が、NERVの発表情報と気象庁や民間気象会社との情報で混乱が生じないように、雨量や風の強さを表す言葉を気象庁の表現に合わせています。
XML電文
特務機関NERV が台風情報を作画するときに使用するXML形式電文では、次のように値が入っています。
ことし1月1日に発生した台風1号が消滅したときの電文です。
「台風消滅(域外へ出る)」と書かれています。
気象庁が「消滅」という言葉を使っているため、特務機関NERV でも気象庁の定義に合わせて「消滅」という言葉を使っています。
消滅とは?
気象庁が使う「消滅」の意味は、「台風が台風の要件を満たさなくなり、台風ではなくなった」ことを示しています。
台風が消滅する理由には、「熱帯低気圧に変わった」、「温帯低気圧に変わった」、「気象庁の担当領域[北西太平洋及び南シナ海]外に達した」のいずれかになることが想定されています。
特務機関NERV でも、気象庁の定義と同じように台風ではなくなったことを「消滅」と表現しています。そのため、画像には「台風は消滅しました」と記載しています。
気象庁に訊いてみた
このブログを書くにあたって、気象庁にも「消滅」の定義を問い合わせてみました。気象庁からの回答は次のとおりです。
台風の「消滅」につきましては、貴社の認識のとおり、台風が台風の要件を満たさなくなったことを示しています。
すなわち台風が、
・最大風速が約17m/s(34ノット、風力8)に達しない熱帯低気圧になった場合
・温帯低気圧に変わった場合
・台風の中心が気象庁の担当領域(北西太平洋及び南シナ海(赤道〜北緯60度、東経100度〜180度))の範囲外に達した場合
のいずれかとなる場合に「消滅」という言葉を用いています。
まとめ
今回、特務機関NERV では、なぜ「台風は消滅しました」と表現しているかについて説明しました。他の機関が出す情報と混乱が生じないように、気象庁の表現に合わせているからという理由でした。「消滅」という言葉に違和感がある方は、気象庁に意見や要望を出していただけると改善できるかと思います。